第2章「ESCAPE」

....#27 出撃


暗い、飛空挺の底部。頑丈な鉄の壁に四方を囲まれたこの場所では、外で繰り広げられている戦闘音も遠く感じられる。

武装した部下達の重苦しい気配の中、先頭に立つべきセシルはいつもの勤務服のまま、静かに出陣の時を待っていた。彼は体を重くする装備を嫌い、丈夫で動きやすい勤務服に長剣という姿のまま白兵戦に出ることが多い。

やがて、剣の柄に無造作にかけられた無線機から、聞き慣れた副官の声が聞こえる。
その言葉に、セシルは立ち上がった。


「……わかった。すぐ出る」

『ご武運を』

「隊長! 着陸と同時にハッチ開きます! あとおよそ一分!」

「わかった……皆、普段通りで」

「……相手は素人だからね、さっさと終わらせてバロンに帰ろう」

「はっ!」





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